保育士キャリアアップ研修とは 受講のメリット 修了要件 受講の流れ 研修内容(各分野)
保育士キャリアアップ研修


保育士キャリアアップ研修とは
これまで曖昧だった保育士のキャリアアップの仕組みを構築するとともに、一定の水準のもとでリーダー的職員を育成するため、平成29年に厚生労働省が制定したものです。研修を受けた保育士は処遇改善等加算Ⅱの対象となるため、保育士の給与アップを期待することができます。
また、一般保育士から主任保育士になるまでの間に、段階的な役職ができたことで、保育士はこれまでよりもキャリアパスを描きやすくなりました。中には一度現場を離れた人や、経験の浅い有資格者を対象にした研修も用意されているなど、潜在保育士が復帰しやすいよう配慮されている点もポイントです。
処遇改善が図れる一方で、これまで独自で研修や昇給制度を設けていた園は、2023年度以降、保育士等キャリアアップ研修を受講しないと手当が出せなくなるというデメリットもあり、該当する園は、概要の把握と計画的な研修の実施が必要となるでしょう。
こちらでは、受講のメリットや受講方法、厚生労働省が提示するガイドラインの概要や対象者などについてご紹介します。
キャリアアップ研修を受講するメリット
メリット1 キャリアアップ・昇給に活かせる!
多くの企業では、社内に昇進(キャリアアップ)や昇給に関する規定が整備されていることが多いですが、保育士においてはその機会が少なく、現場の声として最も多く挙げられているのが「給与」に関することです。本研修を受けることで、国が設置した新たな役職に若手や中堅保育士がキャリアアップすることができ、昇給の機会を得られるようになりました。
メリット2 保育士としての専門知識をアップデートできる!
保育現場においては園長、主任保育士といった管理職の元で、初任後から中堅までの職員が多様な課題への対応や若手指導を行うリーダー的な役割を与えられて職務にあたっています。
こうしたリーダーたちが改めて専門知識を学び直すことで、自信を持って現場に活かすことができ、園全体の専門性も高めることができます。
修了要件
保育士等キャリアアップ研修は、 保育士等の処遇改善と 専門性の向上を目的として厚生労働省に定められた研修です
副主任保育士・専門リーダー・職務分野別リーダーとして就任するために受講が必須となることが決まっています。
受講できる人は保育士だけでなく、調理員・栄養士・看護師・事務職員など様々な職種の方が対象です。保育現場の多様な課題への対応、他職種との協動等に必要な資質の向上のためにも、保育士以外の職員も施設で求められる職務や役割に応じて積極的な受講が重要とされています。
各役職に就任するためには、8つの専門研修のうち必要となるものを修了しなければなりません。どの役職も自身の専門性だけでなく、他の保育士等へ助言や指導ができる力や実践力も必要とされており、1分野に付き15時間以上の受講が修了要件とされています。
役職 | 修了要件 | 適用開始時期 | 完全実施年度 |
副主任保育士・中核リーダー等 | 4分野(60時間以上) | 令和5年度から段階的に | 令和8年度 |
職務分野別リーダー・若手リーダー | 担当する1分野 (15時間以上) | 令和6年度から | 令和6年度 |
受講の流れ
受講申込
「お申込みはこちら」のボタンより、必要事項をご記入の上、Googleフォームにてお申込みください。
↓
会員専用サイトにログイン
「ログイン」のボタンより講座の動画を視聴してください。
↓
講座受講後、レポートを作成し提出してください。
研修内容(各分野)について
乳児保育 分野
(主に0歳から3歳未満児向けの保育内容)
乳児保育に関する理解を深め、適切な環境を構成し、個々の子どもの発達の状態に応じた保育を行う力を養い、他の保育士等に乳児保育に関する適切な助言及び指導ができるよう、実践的な能力を身に付ける。
こんな人にオススメ!
→0歳〜1歳児クラスを担当している
→乳児の発達や関わり方について深く学びたい
→保護者との丁寧な連携が求められる場面が多い
向いている保育士像
子どもの小さな変化に気づける観察力がある人


幼児教育 分野
(主に3歳以上児向けの保育内容)
幼児教育に関する理解を深め、適切な環境を構成し、個々の子どもの発達の状態に応じた幼児教育を行う力を養い、他の保育士等に幼児教育に関する適切な助言及び指導ができるよう、実践的な能力を身に付ける。
こんな人にオススメ!
→3歳〜5歳児クラスを主に担当している
→「遊び」を通じた教育や小学校との接続に関心がある
→言葉や社会性の育ちに関わることが多い
向いている保育士像
教育的視点を大切にし、成長を促す計画を立てたい人
障害児保育 分野
障害児保育に関する理解を深め、適切な障害児保育を計画し、個々の子どもの発達の状態に応じた障害児保育を行う力を養い、他の保育士等に障害児保育に関する適切な助言及び指導ができるよう、実践的な能力を身に付ける。
こんな人にオススメ!
→障がいのある子を受け入れている保育所に勤務している
→インクルーシブ保育に関心がある
→発達に課題のある子との関わりに自信を持ちたい
向いている保育士像
どの子も等しく大切にできる、柔軟な関わり方ができる人


食育・アレルギー対応 分野
・食育に関する理解を深め、適切に食育計画の作成と活用ができる力を養う。
・アレルギー対応に関する理解を深め、適切にアレルギー対応を行うことができる力を養う。
・他の保育士等に食育・アレルギー対応に関する適切な助言及び指導ができるよう、実践的な能力を身に付ける。
こんな人にオススメ!
→食育活動を担当している、または興味がある
→アレルギーのある子どもが多い園で働いている
→栄養士や調理員と連携する場面がある
向いている保育士像
食への関心が高く、保護者との情報共有が得意な人
保健衛生・安全対策 分野
・保健衛生に関する理解を深め、適切に保健計画の作成と活用ができる力を養う。
・安全対策に関する理解を深め、適切な対策を講じることができる力を養う。
・他の保育士等に保健衛生・安全対策に関する適切な助言及び指導ができるよう、実践的な能力を身に付ける。
こんな人にオススメ!
→怪我や病気、感染症などの対応をする場面が多い
→ヒヤリハットや事故防止に関心がある
→園の安全管理を任されることがある
向いている保育士像
危機管理意識が高く、冷静な判断ができる人


保護者支援・子育て支援 分野
保護者支援・子育て支援に関する理解を深め、適切な支援を行うことができる力を養い、他の保育士等に保護者支援・子育て支援に関する適切な助言及び指導ができるよう、実践的な能力を身に付ける。
こんな人にオススメ!
→保護者との関わりに悩むことがある
→子育て家庭への相談支援を強化したい
→保護者対応が多い立場にある(主任・リーダーなど)
向いている保育士像
話をよく聞き、共感的な対応ができる人
マネジメント 分野
主任保育士の下でミドルリーダーの役割を担う立場に求められる役割と知識を理解し、自園の円滑な運営と保育の質を高めるために必要なマネジメント・リーダーシップの能力を身に付ける。
こんな人にオススメ!
→主任・副主任・リーダーなどの役職を目指している
→職場の運営やスタッフ間の調整に携わっている
→チーム全体のスキルアップに貢献したい
向いている保育士像
組織づくりや後輩育成にやりがいを感じる人


保育実践 分野
子どもに対する理解を深め、保育者が主体的に様々な遊びと環境を通じた保育の展開を行うために必要な能力を身に付ける。
こんな人にオススメ!
→地域子育て支援センターや一時保育に関わっている
→地域の子育て家庭とつながる仕事が多い
→行政や他機関との連携が必要なポジションにいる
向いている保育士像
地域活動や広い視野を持った支援ができる人